外来・入院からフォローアップまで!
虎の門病院ではその創生期から内分泌診療部門が独立して機能しており、
代々の部長である鎮目和夫先生、紫芝良昌先生、
そして小澤安則先生のたゆまぬ努力を礎に今日まで発展を続けている。
その歴史の中で、関連する諸領域の診療科との堅固な協力体制が整備され、
今日では間脳下垂体外科、内分泌外科(耳鼻咽喉科)、小児科、産婦人科、
消化器外科および泌尿器科の各診療科を含めた総合的な内分泌診療体制が構築されている。
このような背景から、幅広い領域を網羅する虎の門病院における内分泌診療の実際を、
関係者の英知を結集して、ハンドブックの形で提供することを構想した。
本書は、若手医師のクリニカルプラクティスにおける拠り所として企画され、
日々の診療において実際に行われていることや行うべきこと、
さらには考える必要のあることが記載されている。
また、プラクティスにとって必要な内容に重点を置き、
診療方針の決定にとって大切な事項は言うまでもなく、検査や治療に際して患者さんが困ること、
不安に感じることなどにも配慮できるような記述を心がけた。
本書は内分泌代謝領域の専攻医のみならず、
多くの内科医にとって身近で手頃なガイドとなるものと期待している。
内分泌疾患は何よりもその病態の理解が重要であり、
マニュアル的な記述は馴染まないことが多いため、
本書の体裁はことさらに視覚に訴えるようなものにはなっておらず、
ときに冗長に思われるかもしれない。
しかしながら、診療に必要な項目や興味ある項目を読んでいただくと、
実践的な知識が得られるだけではなく、その病態の理解を深めることができるように配慮したつもりである。
本書を手にした皆さんに成書ではなかなか巡り会えない内容に遭遇していただけること、
「そこが知りたかった!」といっていただける情報に数多く出会っていただけることを願っている。
また本書が内分泌疾患に苦しむ多くの患者さんたちのために、
少しでもお役に立てることを期待して止まない。