みずみずしい感性がほとばしるスタイリッシュな映画ポスター。
現在の新宿丸井の場所に、かつて日活名画座という映画館があり、
格安で名画をみられることから人気が高かった。
その映画館のポスターを1959年から1968年までの9年の間、
無償で制作していたのが22歳から30歳の頃の和田誠です。
日活名画座のポスターは和田誠の初期の活動を紹介するうえで、欠かせない重要な作品です。
粟津潔や杉浦康平など、グラフィックデザイナーに活用されていた
シルクスクリーンの工房サイトウプロセスからの依頼によって、
月に2枚程度制作されていました。
これまで和田の展覧会や作品集では一部の展示(掲載)や、
イラストレーション部分がまとめられているだけで、全貌は明らかではありませんでした。
本書は和田誠事務所に保管されていた185点の幻のポスターをまとめたものです。
シルクスクリーンのヴィヴィッドな色合い、大胆な構図は今なお、
今だからこそ新鮮でスタイリッシュです。
和田誠のファンはもとより、映画ファン、またグラフィックデザイナー、
デザイナーを志す人たちにとっても刺激になる一冊に違いありません。
ブックデザインは映画界で注目される大島依提亜。
当時の気分を再現するために、表紙はシルクスクリーン印刷にし、
一部のポスターは当時と同じく銀色で刷っています。